仕事における英語での旧姓と戸籍姓の表記方法について
結婚して姓が変わったけれど、研究業績を考えると仕事では今後も“旧姓”を使いたい。
でも、仕事で外国に行くときは、パスポートに書かれている“戸籍姓”との整合性もあった方が安心みたい。
じゃあ、どうしたらいいの? みんなはどうしているの?
…ということで、仕事における英語での旧姓と戸籍姓の表記方法について、メンバーから意見を募りました。
以下、旧姓(Birth:birth nameの略)、戸籍姓(Census:census register nameの略)、名前(First:first nameの略)として、「メリット」「デメリット」とともに表記方法の例を3つお示しします。それぞれのデメリットについての対策案も考えました。
また、その他の意見として、身の周りの人やアメリカではどのような傾向があるのか?についてもまとめました。
● 表記方法の例
(1) First Birth(旧姓のみ)
〇 メリット
・結婚前の業績と同一人物として認識される。
・離婚しても問題ない。(日本の離婚率は33%であり、決して低くはない)
× デメリット
・戸籍姓が入っていないため、パスポートやクレジットカードとの照合が困難。
(2) First Birth-Census または First Census-Birth(姓をハイフンで繋ぐ)
〇 メリット
・旧姓と戸籍姓が入っているため、パスポートやクレジットカードとの照合が容易。
× デメリット
・旧姓の業績とは別人と捉えられる可能性が高い。
・結婚と離婚の度に姓を変えていると業績が混乱する。
(補足) 旧姓をメインにしたい場合はFirst Birth-Census、戸籍姓をメインにしたい場合は First Census-Birth と表記することが一般的である。
(3) First Census Birth または First C. Birth(ミドルネームに戸籍姓を入れる)
〇 メリット
・旧姓と戸籍姓が入っているため、パスポートやクレジットカードとの照合が容易。(但し、戸籍姓が頭文字のみになると、照合が困難かもしれない。)
× デメリット
・旧姓の業績とは別人と捉えられる可能性が高い。
・結婚と離婚の度に姓を変えていると業績が混乱する。
● デメリットについての対策案
(1)のデメリットについての対策案
身分を証明する書類(パスポート、クレジットカードなど)との整合性を得るために、戸籍姓の他に、可能な限り旧姓を併記する。
【パスポートや海外渡航における注意点】
・パスポートの紙面に旧姓併記として First Census (Birth) と表記することは可能だが[1]、パスポートのマイクロチップの情報は旧姓 (Birth) が併記されず、First Censusとなるようである[2]。
・「旧姓を ( ) に入れて表記する」ということは世界的にも例を見ないようなので[1,2]、「( )内の名前が旧姓である」ということは理解されにくいかもしれない。
・航空券は Firs Census (Birth) では購入できないようである[2]。
・航空券について、First Census (Birth) のパスポートを持っている場合は、First Census で購入すれば搭乗可能のようある[2]。First Birth-Census や First Census-Birth で購入すると搭乗できないようなので注意が必要である[2]。
[1]
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/pss/page3_002789.html (2020年5月15日最終閲覧)
[2] https://news.yahoo.co.jp/byline/sendayuki/20200205-00161778/ (2020年5月15日最終閲覧)
(2)と(3)のデメリットについての対策案
結婚前(旧姓のみ)の業績と同一人物と認識してもらうために、以下のサイト(①、②)を活用する。
① ORCiDの活用
旧姓と戸籍姓を併記した氏名だけではなく、旧姓の氏名(First Birth)も登録できる。旧姓の氏名は Also known as First Birth, のように表示される。また、業績は自身で登録できるので、姓の表記が変わっても同一人物の業績として管理できる。
② researchmapの活用
旧姓と戸籍姓を併記でき、どちらの姓で検索してもヒットする。また、業績は自身で登録できるので、姓の表記が変わっても同一人物の業績として管理できる。
● その他の意見
・世界的に見てみても、姓が変わった後の推奨の表記方法はないようである。
・身の周りの人の表記方法はそれぞれで、(1)~(3)の全てのパターンの方がいる。
・旧姓での業績が多い人は、日本も外国も旧姓のみで仕事をしている場合も多い。
・外国へ渡航したときに「何のために来たのか? 証拠書類は?」と訊かれることがあるようなので、少なくとも国際会議の参加のときは発表名に戸籍姓を入れておいた方が安心のようである。
・アメリカでは夫婦別姓がOKなので、結婚しても旧姓のままの人もいる。
・昔のアメリカの研究者は旧姓と戸籍姓のダブルネームを用いている人もいたが、最近はほぼ旧姓のみを使用している。
● まとめ
どれもメリットとデメリットがあって迷いますね。一概に「この表記方法がベスト!」と言うことは難しそうです。最終的には、「この表記にしよう!」と自分で納得して決めることが大切なのかもしれません。
また、パスポートについて、旧姓併記の表記方法やマイクロチップの情報との整合性が、今よりもクリアになるとありがたいですね。
読者の皆さんは、ご自身や身の回りの方も含めて、英語での表記をどのようにしていらっしゃいますか?
宜しければ、ご意見をお寄せいただけたら幸いです。
最終更新日 2020/5/15
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