<紹介者のコメント>
私は、米国でポスドクポストを得た夫に付随して渡米するため、仕事を離れたことがあります。この時は葛藤がありました。東京で楽しく仕事をしていたし、一度離職したら戻れないのではないかという不安がありました。結婚すると男女で期待されることが違うことに直面して反発心も持ったり。一方で、アメリカ生活への好奇心や、一緒に暮らしたいという思いがありました。そんな時、「アメリカで仕事見つければいいじゃない。米沢先生みたいでかっこいいわよ」と言ってくださった方がいました。周りの期待や将来の不安を考えるのをやめて、今、大切にしたいことのためにポンと行動しようと、背中を押してくれたのが米沢先生の生き方でした。その後、運良く米国で職を得られて仕事に国際的な広がりができ、現在の日本での職にも繋がっています。
米沢先生は旦那さんが大好きで、新婚早々に旦那さんのロンドン単身赴任が決まると、寂しくて寂しくてイギリスの大学と名のつく機関に手紙を書きまくり、学生として受け入れてくれてさらに留学費用もだしてくれる大学を見つけて、渡英。さらに数年後、旦那さんがアメリカに行くことになったら、今度は子連れで、アメリカで研究員のポストを見つけて、渡米。しかもその先に、日本物理学会の最初の女性会長となり猿橋賞を受賞されるなど物理学者として大活躍という、本当にパワフルで、すごい人、なんです。影響を受けたと言うのも恐れ多いように思いますが、明るくて真っ直ぐな文章に親しみを感じ、とても元気をもらえました。
実は、途中で読むのを止めています。この先、ご自身の病や旦那さんの死の話が続くので、考えるだけで泣いてしまうのです・・・。今は、イギリスに飛び出して行った若かりし米沢先生に元気をもらうところまで。ずっと手元に置いて、少しずつ読んでいけたらと思っています。
「二人で紡いだ物語」米沢富美子著(中公文庫)
最終更新日:2020/5/25
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